一昔前に「メジャーからインディーへ復帰」というと、なんとなく大手から切られちゃって「都落ち」みたいな意味が強かった訳だけど、近年むしろ「奴隷からの卒業」的な響きで「よき事」として語られる場合が多かったりする。
最近ではメジャー・レーベルのプロモーションがアホ過ぎて柔軟性が無いから「イチ抜け」しようとか、SonicYouthのマタドール、Weezerのエピタフ移籍みたいに「ポリシーのあるインディーレーベルに籍を置いたほうが安心できるわい」なんて人たち、もしくはInterpol、Radiohead、Trent Reznorみたいに「勝手に自分たちでやっていきます」など色々理由があるんだけど、EMIに長い間お世話になっていたMUTE RECORDSが再びインディーレーベルとして再出発するそうだ。「傘下レーベルのメジャー離れ」ってヤツでしょうか。
Muteは1978年設立で、エレクトロ音楽/インダストリアル系の老舗としてDepeche Mode、Mark Stewart、あと懐かしいところではYazooやErasureを過去には抱えてて、あと象徴的な存在のNick Caveなどがいる。で2002年にEMIの傘下になって8年間契約が続いてた訳だけど、この度これが途中で解消になる。そこでもう一度創始者のDaniel Miller が<MUTE>名義の新レーベルを建て直すような形で、 Depeche Mode, Goldfrapp, Richard Hawley, KraftwerkらはとりあえずEMIに契約が残ってるので残るみたいだが、契約切れになってからMUTEに戻ってくる人も多分いるのでしょう。名前もブランドも確立してるのだから、そこそこの規模でこれから新しいアーティストの発掘しつつ価値あるベテランの面倒をみながらそれなりに続けられる筈。
メジャー内での傘下レーベルのスリム化など色々裏事情もありそうだが、流通も宣伝も全部ネットでコンパクトに出来るようなってメジャーの強みが殆ど無くなってる状況だから、どんどん大手から音楽家が逃げ出してる印象もある。一昔前だと独立系レーベルが全米流通、さらには世界流通に耐えれるキャパシティが無いので大当たりのアーティストが出ると自然にメジャー傘下に入って吸収されていた。一方で大手の経済状況で消された名門なんてのもある。エレクトラみたいに中には使い捨てすべきじゃない立派なところも抹殺されて居たたまれない気分にもなったのだが、場合によっては今回の例みたいに、メジャーに吸い込まれたインディーの名門が、個性ある形を保ちつつ再び独立するなんてことも起きそうです。
そうそう最新のMuteの新作といえばニック・ケイヴとザ・バッドシーズのメンバーのサイドプロジェクト、Grindermanのセカンド。ガレージとインプロが混在した中々面白いレコードです。良質でも売りどころが打ち出しにくいという意味では厳しいのでしょうけど、こういうレコードを出してる限りMuteは信用できるレーベルだと思います。